モビリティは、人の「ありのまま」の姿を表します。

体のモビリティは、睡眠、回復、メンタルヘルス、仕事やスポーツのパフォーマンスなど、生活の多くに影響を与えます。モビリティを改善することで、生活の質をさらに向上させることができます。

体のモビリティとは? 筋のアンバランスがもたらす影響とは? なぜ体のモビリティが重要なのか? モビリティの改善によるメリット モビリティの低下によって引き起こされる健康上の問題 モビリティの分析および評価 自分自身のモビリティを知る

体のモビリティとは?

「モビリティ」は「可動性」とも呼ばれ、「フレキシビリティ(柔軟性)」と似た意味で使われる事がありますが、同じではありません。

モビリティは、自分の力で動かせる関節可動域の範囲やコントロールする能力を意味します。

フレキシビリティは、モビリティに影響を与える要素の一つであり、筋肉や腱などの伸びる能力を意味します。

筋のアンバランスがもたらす影響とは?

体がアンバランスな状態の時、その状態で何とかバランスを取ろうとするため、体にはストレスとなり、次のような形で体に現れる可能性があります。

  • 歪んだ姿勢
  • 痛みや不快感
  • 発揮できる力の低下
  • 筋のこわばり
  • 可動域の制限

筋組織はとてもデリケートであり、体が受けているストレスの影響を受け、その結果として体のバランスが崩れていきます。それが様々な種類の痛みや不快感を引き起こします。 発揮できる筋力の低下については、比較的容易に感じ取る事ができます。しかし、それ以外の症状については感じたり、現れたりするまでに時間がかかります。

そのため、多くの人が筋がアンバランスになり始めていることには気付いていません。

なぜ体のモビリティが重要なのか?

優れたモビリティは、カラダ全体の機能とそれに基づいたパフォーマンスの向上の獲得に繋がります。それは、筋や関節組織の抵抗が減少する事で、筋が余計な力を発揮する事なく、広範囲で動く事を可能にするためです。

モビリティを向上させることは、人々の様々な悩みを解決するだけでなく、新たな気付きやモチベーションを与える事にも繋がります。

モビリティは例えば、日常生活の次のような側面に影響を及ぼします。

睡眠: 筋の硬直や痛みは、睡眠の質の低下およびそれによるエネルギーレベルへ影響を及ぼします。
仕事: 姿勢は仕事の効率に影響を与え、仕事に費やす時間を減らしたり、その逆もあります。
スポーツパフォーマンス: 試合の結果、疲労回復、怪我のリスク、そして最終的にはアスリートのキャリアの長さも決定します。
メンタルヘルス: モビリティが欠如し、自由に動く事が出来ないと、ストレスや不安、さらには鬱病のリスクまで高まる可能性があります。

モビリティ向上によるメリット

パフォーマンスアップ

筋の余計な緊張を生むことがなくなり、効率的な力発揮を可能にします。モビリティの向上は、筋力や持久力を向上させる事なく、一定のパフォーマンスのアップが期待できます。

回復のスピードアップ

バランスが取れていると、余計な緊張が生まれないため、体はより早く回復できます。さらには、効率良く血流が流れ続けるため、運動中の回復も早まります。

傷害のリスク低下

日々の活動や運動はもちろん、アクシデントに対応するためにはモビリティは必要です。緊張は、筋のアンバランスを招き、傷害のリスクを高めます。

痛みや不定愁訴の軽減

モビリティの低下は、痛みや不定愁訴を引き起こします。多くの人が感じている肩こりや腰痛の原因は、モビリティにある事がよくあります。

モビリティの低下によって引き起こされる健康上の問題

私たちは生活の多くの時間を座っていたり、同じ姿勢のままでいたりしています。パソコンやスマートフォン、テレビと向き合ったり、前かがみのまま商品の説明をしたりしています。

身体活動量の低下や同じ動きを反復して行うことは、筋の緊張や姿勢の左右差、血流の悪化などにより、様々な健康上の問題を引き起こす可能性があります。

座っている事や同じ動作の反復による影響:

  • 首や肩、背中の凝りおよび痛み
  • 体重増加
  • 心理的な問題    etc.

その中でも、腰痛は世界的な健康問題といえます。どのような座り方をしても、脊柱全体が後弯したような位置になる可能性があり、胸椎の可動性を低下させる原因になり得ます。
人によっては、動かす事の重要性を正しく理解できず、他の部位をやみくもに動かし、逆に痛みや傷害のリスクを高めている可能性もあります。

先進国では、人口の60~70%が腰痛の影響を受けるとされており、日本でも80%の人が人生で一度は、腰痛を経験しています。これらは個人だけでなく、社会的にも大きな影響があり、 米国では年間500億ドル(日本円で約5兆円)が腰痛の治療に費やされています。そして、世界中の人口のうち「10億人」が生活の中で、腰痛を経験しているという事実があります。

腰痛を防ぐための最善の方法として、脊柱のモビリティを高める事が必要です。

そのために:

  • カラダ全体のモビリティを向上させる。
  • 運動前の適切なウォーミングアップを行う。
  • 良い姿勢を保つ事を意識する。
  • 日々の活動量を増やす。

モビリティの分析および評価

これまで、モビリティの分析および評価には、視覚的または主観的に行っていました。しかしながら、それでは正確性に欠けてしまう事が多くありました。

近年は、撮影機器を用いて、精度を上げるためにさらに目安となる器具を別に準備していました。精度が上がったものの、長い時間を要したり、場所を選んだりする必要がありました。

これらにより、分析および評価を熟知した専門家の下でしか実施できないという難しさがありました。

これからの時代は、一般の方々のフィットネスへの興味・意欲の高まりを考えると、精度はもちろん、場所にとらわれず、手軽にモビリティの分析および評価できるような仕組みが重要になっています。

自分自身のモビリティを知る

今のモビリティを知ることは、改善への大きな一歩となります。

モビリティの客観的な分析および評価の方法について理解していきましょう。